旬と産地
- にんじんの生育適温は15~21℃で、現在では地域の気候にあわせ全国的に周年栽培されている。
- 本来の旬は冬。夏にんじんに比べると、ベータカロテン量、総カロテン量が多く酸味が少ない。また、香味成分が多く味がよい。
- 生産地のトップは北海道で全体の3割を占める。以下、千葉、青森、徳島、埼玉、茨城。
- 季節で見ると、秋にんじんは北海道が8割以上を占める。冬にんじんは南下し、千葉、埼玉、茨城で穫れ、春夏にんじんは千葉、徳島が主な産地となる。
特徴
- セリ目セリ科の2年草で、肥大化した根を食用とする。
- 原産はアフガニスタン。これより東に伝わったものを東洋にんじん、西に伝わったものを西洋にんじんと呼ぶ。
- にんじんの色はオレンジ色が一般的であるが、原産地のアフガニスタン周辺に分布している野生種や派生種には、白色、黄色、紅紫色、黒紫色等いろいろある。また形も丸い物、長い物などさまざま。
- 赤い根っこはリコピン、黄色からだいだい色はカロテンによる。とくにオレンジ色の色素はビタミンAとしての効力が大きいベータカロテンである。
- 生育の仕方は、種子を直播きし、60~90日後、直径が2~5cm程度になったときに収穫する。生育に適した温度は15~21℃。
名前の由来
- にんじんは、せりにんじん、菜にんじん、八百屋(やおや)にんじんなどとも呼ばれる。
- 中国では胡の国(西域の国・ペルシャ)から伝わっただいこんという意味の「胡羅葡(フロボ)」とよばれている。中国へは元の時代(1280~1368年)に渡来した。
- 中国から日本へ渡来したにんじんは、日本で古くから知られていた薬用人参(朝鮮にんじん)と根の形が似ており、その葉の形はセリに似ていることから「芹人参(せりにんじん)」とよばれた。食用として広く利用されるようになると、いつしか「芹」がとれてにんじんとなった。
- 八百屋にんじんは、薬用の朝鮮にんじんではなく、総菜用に八百屋で売っているということで付いた名前。
- ちなみに朝鮮にんじんはウコギ科の植物。根の形が、頭、胴、手足のように人の形をしている物が最上としたので「人参」と呼ばれる。
歴史
- 東洋にんじんは、江戸時代初期に中国から伝わった。東洋系は赤・白・黄・紫など多彩だったが、このうち現在栽培されているのは赤色の金時にんじん(京にんじん)だけである。
- 西洋にんじんは、長崎での栽培記録が残されており、江戸時代後期に伝わったと思われる。現在出回っている物の主流をしめる。戦後、日本でも食卓の洋風化にともない、東洋系に代わり西洋系の「カロテンにんじん」がポピュラーになってきた。カロテンにんじんとは、芯までオレンジ色のものをさす。15世紀以降、オランダで黄色タイプから品種改良で生まれた。
- 健康志向とも相まって、カロテンが豊富で、しかもにおいの少ないものが生産されている。
品種
日本には、江戸初期中国から東洋系のもの、江戸後期西洋系のものがあるが、現在では栽培しやすくカロテン含有量など栄養価も高い西洋系が主流で、東洋系は金時にんじんのみが残っている。日本で分化した品種は、五寸、三寸等、根の長さで表されている。
- [ 五寸にんじん ]
- 現在主流の品種。西洋系。根の長さが15~20センチ、根の先が丸くつまっているものが多い。
- [ 金時にんじん ]
- 唯一残っている東洋系。西洋系に比べ、紅色の肉質は柔らかくて甘みがつよく、にんじん臭さが少ない。中長型で長さ30cm前後。金時にんじんの生産地は香川等。11月~4月上旬頃出回る。金時にんじんの赤さはリコピンという色素によるもので、ビタミンEやカロテン以上に抗酸化作用が強いことが最近の研究で注目されつつある。おせち料理には、色が鮮やかなので、金時を使うことも多い。
- [ 大長にんじん ]
- 長さ60~70センチの西洋系。柔らかく甘みもつよいが、栽培に手間がかかるため、正月料理用などに、わずかにみられる。
- [ 三寸にんじん ]
- 早生品種で、長さ10cmほどの円すい形。生育は早いが収量が少なく、昭和30年代中ころから減少。今はほとんどつくられていない。
- [ 島にんじん ]
- 沖縄だけで栽培されている。耐暑性が強く、色は黄色で30~40cmと細長い。甘みがあり、煮もの、いためものに。
- [ ミニキャロット ]
- 長さ10cmほどで細長い。ベビーキャロットともいう。特有のにおいが少なく、甘みがあるので生食用に人気。丸いものもある。
栄養
- にんじんは、根を食べる野菜の中では珍しい緑黄色野菜。オレンジ色の色素はカロテン。カロテンの名も英語のキャロットに由来しているほど豊富である。
- カロテンは体内でビタミンAに変わる。ビタミンAは、皮膚や粘膜の保護、風邪の予防、高血圧、夜盲症、乾燥肌、冷え性、疲労回復などに効果がある。最近ではまた抗酸化作用により、常用するとガンの予防にもなると注目されている。
- にんじん約50gで、成人に1日に必要な量のビタミンAがカバーできる。
- カロテンは、油に溶けやすい物質なので、バターや油で調理した方が吸収率がよくなる。また、カロテンは皮の部分に多く含まれているので、なるべく皮はむかずに利用した方がよい。
- 胃腸にやさしくすり下ろしなどが離乳食にもよく使われる。乳幼児の下痢止めに乾燥粉末がよく効くといわれている。
- 他にリボフラミン(ビタミンB2)や葉酸、ビタミンCなども多く含まれる。
- 葉は造血効果があり貧血によい。また、種子には利尿効果があるため、腎臓病でむくみのある場合煎じた物を常用するとよい。
選び方
- 頭の部分を見て、しんの直径が小さいものを。しんの直径が太くその周りが青かったり黒ずんている物は甘みに欠ける。
- 皮がツルンとしてハリがあり、色が濃くて鮮やかなものを。
- 形は太めで先端が丸くつまっているものがよい。
保存方法
- 泥を落としたら、むれないように水分をよくふいて、ポリ袋に入れて冷蔵庫の野菜室または冷暗所で。
- 冬場はポリ袋で乾燥を防げば、0~2℃で2ヶ月程度の長期保存か可能である。また、土に埋めることにより、春までもたせることができる。常備野菜として、おいておきたいもの。
- 1本を1回で使い切れないときは、先の方から使用し、残りは水分を取り除いてからポリ袋に入れて冷蔵庫で保存する。
- 芽が出るまでに食べきろう!
下ごしらえ
皮にはカロテンが多く含まれるのでできればそのまま使いたいが、加熱すると黒ずむので必要に応じてむく。にんじんの切り方もいろいろとあるので、マスターしておこう!
- [ 乱切り ]
- にんじんを手前に反転させながら、斜めに刃を入れて切っていく。煮物などに。
- [ せん切り ]
- 3~4cmの長さに切り、縦に薄切く切ったものを少しずつずらして重ね、端から細く切っていく。サラダや、きんぴらごぼうなどに。
- [ 梅花にんじん ]
- 抜き型の直径より大きい部分を4~5cm長さに切る。切り口に抜き型をあて、力を入れてしたまで抜く。花形にぬいたにんじんを小口きりにする。炊き込みご飯、汁物、その他お料理の彩りに。
- [ ねじり梅 ]
- 梅花にんじんにさらに手を加え、はなびらを立体的にする。花びらの切り込みから中心に向けて軽く包丁をいれ、花びらの片側を斜めにそぎ落とす。おもてなし料理やおせち料理などに。
- [ シャトー切り ]
- まず3~4cmの長さに切り、太さに応じて4~6つに放射状に切る。皮をむきながら切り口の角を落とす。形がきれいで煮くずれしにくい。グラッセや洋風の煮込み料理に。
食べ方のコツ
- にんじんは食べても甘みがあっておいしく、見た目も美しい野菜なので、和洋中あらゆる料理で重宝する。生でもよし、煮ても妙めても、漬けてもおいしくいただける、まさに野菜の万能選手。給食で一番よく使う食材でもある。細かく切ってあると、にんじん嫌いでも食べやすいので、切り方にも工夫が必要。
- カロテンは油と取ることでビタミンAとしての吸収率が高くなるため、てんぷらやきんぴら、バターソテー等が向いている。
- 美顔、高血圧、抗ガンには、にんじんジュースで毎日欠かさず取ることがおすすめ!但し、ニンジンにはビタミンCを破壊する酵素アスコルビン酸オキシターゼが強い。たとえばレモンなどと一緒にミキサーにかけると、レモンのビタミンCは失われるので注意が必要である。
☆簡単で飲みやすいにんじんジュースその1:ヨーグルトとハチミツとあわせれば、口あたりがよい。
☆簡単で飲みやすいにんじんジュースその2:にんじん1本とりんご1個を合わせミキサーにかける。
- 美顔パック:ハンガリーに古くから伝わる美顔法で、肌につやを与える。にんじんとかぶを1個ずつ、ミキサーにかけてつぶしたもので顔をパックし、約20分たったら水で流す。
葉っぱもぜひ食べたい!
- 葉の部分には、根の2倍以上のビタミンAを始め、タンパク質(根の3倍)、カルシウム(根の5倍)、 脂質、鉄分、ビタミンCなど、根以上に豊富に含んでいる。タンパク質はスレオニン、リジンなど必須アミノ酸に富んでいる。
- 葉の部分は、店頭に並ぶときには取り除かれているが、入手できたときには捨てずに食べたい。なお、関西では夏の葉物としてにんじんの葉(呼称:にんじん菜、葉にんじん)が出回る。
- 食べ方としては、きざんでしょうゆ煮にしたり、妙め物や揚げ物にもよい。やわらかい若葉は、さっとゆでておひたしにしても、おいしい。
にんじんはなぜ赤い・・・昔話では?
昔話では、にんじんやごぼうはだいこんと同じく白かったそうだ。
「ある日、3人そろって山に登った帰り道、1番くたびれただいこんだけが、通りかかった木こりのおじさんにおんぶして、らくちん、らくちんとおりて来たそうな。それを見たにんじんは、真っ赤になって怒りだし、ごぼうも地べたにヒックリ返って怒ったとさ。それで、だいこんは白く、ごぼうは黒く、にんじんは赤くなったとさ。」
昔話その2・・・にんじんやごぼうはだいこんと同じく白かったそうだ。
「だいこんは、キレイ好きで、毎日一生懸命体を洗い、にんじんは、お風呂に入ってることが好きだったそうで、毎日洗っていただいこんは、白く、にんじんは、ずっとお湯に入っているので、赤くなってしまった。さて、ごぼうは・・・お風呂が大嫌いだったので、黒いんだとさ。」